私たちはどのように「ことば」を身につけるのか 言語習得研究への招待
【近日開始予定!】言語習得は、人間の認知・発達・学習を理解するうえで重要な研究領域の一つです。子どもが母語を獲得する過程から、第二言語を学ぶ際に見られる特徴まで、言語習得研究は多様な方法と視点によって発展してきました。本シリーズでは、これまでの研究成果を手がかりに、言語習得のしくみを整理しながら、その研究のおもしろさと意義を紹介していきます。
母語獲得編
【第1回】研究とは何か:「母語」と「第二言語」という補助線
私たちは、いつの間にかことばを使えるようになり、そして必要に応じて新しい言語を学びます。しかし、その過程にはどのような違いがあるのでしょうか。本シリーズでは、母語と第二言語という区別を手がかりに、言語が身につくしくみを考えていきます。第1回ではまず、「研究とは何か」という視点から出発し、ことばの世界を理解するための基本的な枠組みを整理します。
【第2回】発話データが語る母語獲得:子どもは何をしているのか
子どもはどのようにして母語を身につけていくのでしょうか。その問いに答えるために、研究者が最も重視してきた手がかりが「発話データ」です。第2回では、子どもが実際に話したことばの記録を通して、母語獲得の過程にどのような規則性が見いだされてきたのかを紹介します。
【第3回】母語獲得の発達段階:子どもはどのように言語体系を築くのか
子どもは、生まれてから数年のうちに母語の文法体系をほぼ完成させます。この驚くべき発達は、どのような道のりをたどるのでしょうか。第3回では、発話データにもとづいて整理されてきた「発達段階」という枠組みを紹介し、母語獲得がどのように進行していくのかを具体的に見ていきます。
【第4回】話せないのに、わかっている:子どもの「理解能力」から探る言語習得のメカニズム
子どもがまだ流暢に話せないとき、私たちはつい「まだわかっていないのだろう」と考えてしまいます。しかし、言語習得研究は、この直観に揺さぶりをかけてきました。発話できない段階の子どもが、すでに複雑な文の意味や抽象的な文法規則を理解している可能性があるのです。本稿では、「理解」をどのように測定するのかという研究方法に注目しながら、子どもの見えにくい言語能力に迫ります。
【第5回】 赤ちゃんは“世界の言語音”を聞き分けている:音声識別研究が示す「母語同調」と言語獲得の出発点
本シリーズ「母語獲得編」では、発話の発達段階、語彙の拡大、理解能力の先行性といった観点から、子どもがどのように母語を身につけていくのかを見てきました。本稿では、その出発点に立ち返ります。発話や理解よりもさらに早い段階で始まっている発達――それが「音の聞き分け」です。音声識別研究は、人間がどのように言語へと特化していくのかを、最も根源的なレベルで示しています。